映像クリエイター・堀貴秀が7年の歳月をかけてほぼ1人で製作したストップモーションアニメ映画。
公式サイト
https://gaga.ne.jp/junkhead/
あらすじ
未来の地球。未知のウィルスで絶滅の危機に瀕した人類は、遥か昔に創造した人工生命「マリガン」の生殖能力に解決策を求め、地下に生息するマリガンたちへの接触を計画、その任務に応募したパートンは地下への潜入任務に就く。
名作SFからの影響
ほぼ一人でこれだけの作品を作り上げた手腕と根性は高く評価されるべきだが、作品自体の出来だけを論ずるなら、はっきり言って及第点といった出来栄え。
世界観は近未来SFパンクものであり、階層化された居住区、人間と人工生命との確執(劇中ではすでに過去の出来事となっているが)といった、正直目新しさはそれほどなく、クリーチャーの造形も既視感を拭えないものばかりである。
BGMはストーリーの展開をことさら強調するような大仰な使い方はされておらず、良くいえば従来のセオリーに捕われない自由な演出と言えるが、単に場面に合っていないだけという言い方もできる。
オマージュなのかパクリなのか、はたまた単なる偶然なのかはわからないが、『エイリアン』『ブレードランナー』『アイ、ロボット』『GALACTICA/ギャラクティカ』『風の谷のナウシカ』等との類似が数多く観られ、80~90年代SF映画の影響を強く感じさせる。
まとめ
ストップモーションアニメの特徴であるコミカルな動きを活かすためか、ストーリーも明るいテイストでまとめてあり、ダークに作ろうと思えばひたすらダークになりそうな世界観を悲壮感なく映像化しつつ、それでいて観ていて不快感を感じるようなくだらなさもない。要はSF版『ピングー』。諸手を挙げて人に薦めるほどの傑作では決してないものの、「1人で作った」ということを前提とすれば、充分良作である。
まさかまさかの日本語字幕作品なので、子供が観るのは少々大変かもしれない。