2014年公開の『GODZILLA ゴジラ』から始まる「モンスターバース」シリーズの4作目。
ゴジラとキングコングの対決を描く。
主演はゴジラとコング。前作に引き続きミリー・ボビー・ブラウン、カイル・チャンドラーが出演。
共演にアレクサンダー・スカルスガルド、ブライアン・タイリー・ヘンリー、小栗旬。
監督は『ブレア・ウィッチ』『Death Note/デスノート』のアダム・ウィンガード。
公式サイト
https://godzilla-movie.jp/
あらすじ
前作以降、姿を隠していたゴジラが突如出現、人間を襲い始める。
陰謀論者のバーニーはエイペックス・サイバネティクス社が何かを隠しているとにらみ技術者として潜入を試みるが、
その最中ゴジラが現れ、エイペックス社の施設を破壊する。
そこでバーニーは施設内で謎の装置を発見する。
ゴジラとコングが古くから生態系の頂点を争っていることが判明し、
コングを護るために巨大なドーム状の施設でゴジラに探知されないように保護していたが、
エイペックス社のCEOシモンズは、ゴジラ打倒のため新兵器のエネルギー源を求めて
地底内部の巨大空洞世界の探索を決定、
元モナーク職員の学者で地球空洞説を唱えるネイサンに地底探索を依頼する。
地下空洞はコングが生まれた場所であり、帰巣本能を利用して探索を行うためコングを南極へ移送するが、
その途中でゴジラが出現し、コングと戦闘になる。
いっぽうバーニーの投稿した動画を見たマディソンは、エイペックス社が隠蔽している謎を暴くため、
バーニーとともにエイペックス社へ潜入するが、そこで”ある残骸”を利用した対ゴジラ用兵器を発見するのだった。
主役は怪獣 小難しい人間描写は一切ナシ!
公開前から噂されていたとおり、登場人物を掘り下げる描写はほとんどなく、ステレオタイプに描かれており、
完全に怪獣が主役の映画である。
正直登場キャラクターを掘り下げたところで傑作になったという保証はどこにも無く、
怪獣プロレス娯楽大作に振り切った作品にしたのは正解だと思う。
このような作品に教訓や寓話めいたものを求めるのも野暮な話だが、
強いて挙げるとするなら、「自然の脅威は決して人間の思う通りにはいかない」ということだろうか。
ゴジラはもちろんのこと、コングですら一見人間に協力的な行動を取っているように見えるが、
実際には自分のためにしか行動しておらず、唯一心を通わせているように見えた少女ジアでさえも、
実際には手話で会話していたため意思疎通ができていただけであり、
なにか神秘的な力で繋がっていたわけではない。
最終的には地下空間にから香港に戻る際も、全くジアのことを気にかける様子もなかった。
キングギドラの遺体を利用した超兵器でゴジラを倒そうとするシモンズと
兵器の神経リンクネットワークが人間の制御を受け付けずに暴走する描写は、
「神になろうとする者」「神を越えようとする者」が迎える末路という、
過去ハリウッド映画で散々描かれてきた(バベルの塔のような)キリスト教的教訓の典型である。
このギドラの遺体から本作のラスボスとなる対ゴジラ用兵器が作られるという流れは、
過去の敵が復活して再度主人公の前に立ちはだかるという、
ヒーロー映画のお約束の変形といえ、
また本家東宝ゴジラシリーズで登場する複数の設定を合成したものでもある。
(元々は地球外来である、キングギドラがメカとして復活する、遺体を利用して製作される等)
肝心の「ゴジラとコングはどちらが勝つのか?」については、
一応勝敗を明確に描きつつも、どちらのブランドにも傷がつかない、両者に華を持たせる展開になっており、
プロレスの統一王者決定戦のような、絶妙なさじ加減の結末となっている。