約6年ぶりとなるターミネーターシリーズ最新作。
設定はリブート、『ターミネーター4』はなかったことにされて(というか『3』もなかったことにされ)、ストーリー的には一からやり直しとなった。
ある意味では『1』や『2』すらなかったことにされたとも言えるので、まさに「新起動」です。
公式サイト
http://www.terminator-movie.jp/
予告(真夜中のお散歩編)
以下ネタバレを多く含んでいます!!
映画未見の方は注意してください!!
詳細を見るあらすじ
抵抗軍の主力がスカイネットの中枢部を総攻撃する中、ジョン・コナーとカイル・リースを含むグループは別のスカイネット基地を攻撃、そこにあるタイムマシンを掌握する。
スカイネットが送り込んだターミネーターを追ってカイルもタイムマシンで過去へ向かうが、タイムスリップの最中に「ジェニシスこそスカイネット」という夢を見る。
1984年に送り込まれたターミネーター・T-800はサラ・コナー抹殺のため行動を開始するが、そこへ中年の容姿となったもう1体のT-800が現れ、戦闘が始まる。
闘いは遠距離からサラが若シュワを狙撃してあっけなく終了した。
一方、1984年にタイムスリップしたカイルは直後に現れたT-1000に追われるが、絶体絶命の瞬間、現れたサラに助けられ辛くも脱出する。
過去が改変されたことに驚くカイルだが、今(1984年)から9年前に現れたT-1000に襲われた際、ガーディアンと呼ばれるターミネーター・T-800が現れ助けられたこと、また1984年にカイルが現れることも知っていた事がサラから明かされる。
何者かによって送り込まれたガーディアンがサラを守りながら、闘いの準備をしていたのだ。
T-1000がふたたびサラたちに襲いかかるが、この時のために用意周到に対策を進めていたサラたちは、腐食性の液体(酸?)のトラップでT-1000を撃破した。
サラとガーディアンが準備をしていたのは、これだけではなかった。
現代の技術でタイムマシンを作り上げ、1997年の審判の日へタイムスリップし、核戦争を止める計画だった。
しかしタイムマシンはT-800のチップがなければ起動しないため、84年にもう1体のT-800が現れるのを待っていたのだった。
戦闘で皮膚が損傷したガーディアンはタイムスリップできず、サラとカイルの2人でタイムマシンに乗り込むことになるが、「ジェニシスこそスカイネット」というメッセージが頭から離れないカイルは、サラを説得してタイムスリップ先を2017年へ変更する。
タイムスリップに無事成功した2人だったが、テロリストと勘違いされ拘束されて病院へ連行される。
そこに現れたのは、なんとジョン・コナーだった。
警察から逃れるために脱出を試みる3人。
そこへ30年間待っていたガーディアンも合流するが、突如ガーディアンはジョンを攻撃する。しかし撃たれたジョンはすぐに立ち上がった。
未来のジョンはカイルがタイムスリップする瞬間、隠れていた新型ターミネーター・T-3000に襲われ、肉体を改造されていた。分子レベルでジョンとT-3000は融合しており、ジョン自身がT-3000となっていたのだ。
T-3000となったジョンは2017年にタイムスリップし、スカイネットの元となる画期的なソフトウェア「ジェニシス」の誕生を手助けするため、サイバーダイン社に潜入していた。
ジョンとしての記憶が残るT-3000は両親であるサラとカイルだけは助け、それ以外の人類を抹殺する計画を打ち明けるが、サラたちが受け入れるはずもなく、両者は戦闘になる。
病院から逃げ出したサラたち3人はガーディアンが用意した隠れ家へ一旦避難するが、起動が間近に迫ったジェニシスを破壊するためサイバーダイン社へ向かう。
途中T-3000の追撃を受けながらもサイバーダイン社に辿り着いた3人は収容施設の爆破を試みる。
そこへT-3000が現れ、ガーディアンと戦闘が始まった。
T-3000は粒子状に身体を分解でき、性能で劣るガーディアンは劣勢に追い込まれるが、死闘の末設置してあったタイムマシンに自分もろともT-3000を閉じ込め、タイムマシンを起動させる。
生物しか転送できないタイムマシンに機械の状態で入った2人は中で破壊されT-3000は消滅、T-800もバラバラになるが、直前で頭部だけが外へ放り出され、試作段階の液体金属の中に沈んでいく。
直後仕掛けた爆薬が起動し、サイバーダイン社は爆発した。
ジェニシスの破壊に成功したサラとカイルの前にガーディアンが現れる。液体金属の肉体と頭部が融合したことで復活したのだ。
すべてが終わった後、カイルはまだ少年の自分を訪ねると、将来の自分に警告するために「ジェニシスこそスカイネット」というメッセージを伝えるのだった。
過去作のオマージュシーン
『T1』
前半20分位までの大半のシーン。
全裸シュワが真夜中のお散歩
スーパーでカイルと警官が追いかけっこ
ジョンがサラの写真をカイルに渡す
『T2』
逃走中にT1000の欠片が車にくっついてる
『T3』
冒頭の核ミサイル発射シーン
シュワが頭からフロントガラスに突っ込む
バスがひっくり返る(T3ではクレーン車)
磁石に吸い寄せられて動けないターミネーター
頭に液体金属を流し込まれ操られるT800(T3ではナノマシン)
『T4』
若シュワをCGで再現
『TSCC』
現代の部品でこっそりタイムマシンを製造・未来へ行く
タイムスリップした先が高速道路
残された謎
次回作(あればの話だが)で明かされるのか、自分の読解力がないだけだったのかはわからないが、劇中では明かされなかった謎がいくつかある。
・ガーディアンを1970年代に送り込んだのは誰なのか?
ガーディアン自身も「誰が自分を過去に送り込んだのかデータがない」と言っており、次回以降の謎として意図的に残したものと思われる。
製作側もまだ考えていないのかもしれないが、個人的には別時間軸のジョンなのではないかと思う。ターミネーター化してしまった自分を止めるために、送り込んだのではないか。
・T-1000の転送先が70年代だったのはなぜか?
元々T2では90年代に送り込まれたT-1000だが、今作では70年代に変更になっている。ストーリー上の都合と言ってしまえばそれまでだが。
・ラストでT-3000がタイムマシンの転送に耐えられず破壊されたのはなぜか?
T-3000はT-1000と同じく自身の形状を変化させられるタイプのターミネーターである(粒子状と液体状との違いはある)。2017年へのタイムスリップは出来たのに、最後ではなぜ出来なかったのか。
考えられる理由としては、ガーディアンが対T-3000用に準備した粒子結合を阻害する道具によって完全な人間の外見になっていないまま転送が行われたため、非生物と認識され破壊されてしまったということかもしれない。
あるいは破壊されたのではなく、どこか別の時代に転送されただけなのかもしれない。そのほうが次回作には登場しやすいかも。
感想
T-3000化したジョンの行動原理が今一つ良く分からなかった。
肉体を乗っ取られたからと言ってしまえばそれまでなのだけど、抵抗軍のリーダーが急にスカイネット側の論理で行動し始め、その割にはサラとカイルだけは助けたいという妙に人間臭いところも残している。
そのあたりの微妙な心情の揺れや葛藤を掘り下げて描けば面白くなったのかもしれないが、あまりにあっさりと流してしまっており、わざわざこの設定にした意図を図りかねた。ただ単に「ジョンが実は敵だった」という奇をてらうためだけのアイデアだったのだろうか。
作品自体は「新起動」なので過去作の出来事が一部なかった事にされており、過去作信者には少々受け入れがたい展開もある。その一方で過去作と絡み合うストーリー展開やオマージュシーン等が多いため予習は必須であり、新規ユーザーには取っ付きにくいという、どの層をターゲットにしたのかよく分からない仕上がりになってしまった。
未来シーンのメカは安っぽいCG感丸出しでマイナス。歴代シリーズの中でも最低に近い出来で、予算が足りなかったのかと勘ぐってしまう。
一方で1作目を再現した若シュワは実に出来が良く、ターミネーター好きなら一見の価値あり。
ラストはある意味衝撃の結末(笑)。シュワまさかのアップグレードとは・・・。
個人的評価としては、
T1≧T2>>>>>>TG>>T3≧T4
かな。